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歌のうしろには(2)

一日、お休みしてしまいましたが、

歌のうしろには(1)の続きです。




ハーモニーは起承転結をつかさどっている


前回は、「きよしこのよる、ほしはひかり」までの和音を探しました。

きょうはその続き、

「すくいのみこは、まぶねのなかに」

以降を見て行きます。


音の7つの階段を思い出してください…準備良いですか…
(例:ド、レ、ミが1、2、3)



はい、「すくいのみこは、まぶねのなかに」、これを数字で表すと。








(すくいの)66876・(みこは)5653、
(まぶねの)66876・(なかに)5653。







2回、同じ音形がくりかえされます。

まず、「みこは」と「なかに」の部分をさきに見てしまうと、

5653というのは「きよしこのよる」とまったく同じですね。

ということは和音も同じで、一の和音( I )です。

「みこは」、と「なかに」、「きよし」と「このよる」、ぜんぶおんなじ要素の使い回しですよ!

便利ですね5653!!

(このように、一の和音( I )で伴奏できるメロディーは、ほんとうに「お得」なのです。
そういうメロディーを書くことが、人に親しまれる歌を作る鍵だともいえます。
無意識に、その旋律が基盤としている「和声のうしろだて」を感じさせて、安心させることができるから)



では、「すくいの」と「まぶねの」の、

66876

ですが…6が3回出てきます。この音を中心に、出来上がっているフレーズ。

このフレーズを支える和音は、

4、6、8

になります。

4の音の上に、一段抜かしで4、6、8、とみっつの音が鳴る…


IV(4、6、8のコード)


です。




さて、このあとの「ねむりたもう、かしこみて」を、一気にここでまとめて数字にしてしまいます。





(ねーむりーた)9・9・11・9・7、(もーうー)8・10

(かーしー)8・5・3、(こーみー)5・4・2、(て)1







となり、

順に、

五のコード(V7:5、7、9、11)、一のコード(I:1、3、5)

一のコード(I:1、3、5)、五のコード(V:5、7、9)、一のコード(I:1、3、5)

になります。




(なりますか。)




じっくり、チェックしてみて下さい。



一と五のコードは前回やったので、きょう付け足したいのは

五のコード(V7:5、7、9、11)の、

Vとはなんのことか、という点。




前回、5、7、9と一段抜かしでみっつ音をならすとコードになる、という説明でした。

これが、基本ですが、そこに、一段抜かしでよっつ、階段を上る人が現れました。

(いつでも同じばかりなのはつまらないからですね)

この、新しい響きを作り出してくれる、和音のよっつめの音をよーく見てください。


11の音は、1から7までの音に置き換えると(8が1と同じだから、7を引けば良い)、

4です。

5と4の音は隣同士です。

あららふしぎ。

一段抜かししていたつもりだったのに、

階段のとなりあわせの音を鳴らしちゃっています。

ってことは、和音じゃないってこと?


じゃじゃじゃーん!?!?!?


和音じゃない、のではなく、協和音ではないのです。


和音には、

協和音

と、


不協和音


が、あるのです。


この不協和音という単語は、音楽以外のジャンルでも使われるほど(文学など)、


ハモっていない状態


を表現するのに便利に使われます。


ハモっていないにもかかわらず、その状況は決して否定されるべきものではないところが、ミソです。


不協和音のない人間関係なんて、あるでしょうか。



あっ、…



話が逸れますねこれは。


でもつまり、不協和音のない歌もまた、ないのです。


5、7、9、11から成るV7の和音は、そうした意味で、響きが濁る(あるいは「擦れる」)要素である5と4を共存させたものだから、その和音が鳴るポイントは音楽的に強調されます。

「きよしこのよる」では、終結部の手前で、「盛り上がりポイント」的に、この和音が来る「ようになって」います。「ようになっている」というのは、メロディー自体、今までよりさらにわぁっと上の方に上がって行く、それだけで盛り上がりを示唆していることもあり、和音がそうだからというよりは「そこにその和音を入れる余地があるメロディーなのである」ということです。


メロディーのそれぞれの音は同じでも、歌が低くなっていたら、ある意味せっかくのV7の和音があってもそこまで盛り上がるというわけではないので…まあ、相乗効果です。


それから、もう一件、V7のは、なんのことか、ということですが。


ただの、Vの和音の場合、

(これ、ヴィじゃなくて、ギリシャ数字の五、と読みます、念のため)

そこには音は5、7、9の三つだけが含まれる、ということが定義されています。

そう、一段抜かしは、通常、3段だけ上がる、という定義が(これは世界中どの音楽院に行ってもそういうことになってます)。

そこに、4段あがるケースがある、という例外のことなので、それを示す為に、7がついたのです。

では、なぜ、7か。

一気に説明すると、

みっつの音から成っている和音を三和音といいます。
そのみっつの音を、1、3、5とすると、あとからついたよっつめの和音は、位置的に7の場所になります。


だから、普通の和音(三和音)の1、3、5に、
7に当たる音を加えた和音です、
と言っている訳です。


(ここではV7(ごしち)の話が出ていますが、よっつめの音を含む和音はどの和音でも作れるので、
I7(いちなな)とか、II7(になな)とか、III7(さんなな)とか…七の和音はくだんのギリシャ数字の横に7をくっつけて、よっつめの音がある、ということを示します)



三和音を、7段しかない階段の、一番下の1の音のところに持って来て置いたとき、7の音が鳴ると、それは1の音から一番遠いところにある段ですよね。1から7の間には、とてもひとっとびできない距離があります。

軋轢の当事者たちの間に、ほかの2個の音が入って緩衝剤となっていますし、
なにより、おたがいのあいだにスペースがあるのです(理論上ね)。

だからこそ、この7の音は不協和音を作り出す要素であるにもかかわらず、実際には「真っ黒なキタナい音」には聴こえません。

それどころか、この用途の中での7の音は素晴らしい不協の要素として、音楽界に君臨するに至ったのです。

ジャズでも不可欠な、普通のコード(=三和音)における7、9、11などの付け足された音は、リズムや節回しと同時に、
その歌がどんなタイプのものなのかを決定することができるぐらいの強力なスパイスとなります。

7の音の歴史は、別の機会にゆっくりお話するとして…




「きよしこのよる」の歌の和音の流れを俯瞰すると:


I:きーよし、このよる。
V:ほーしは、ひかり。
IVーI:すーくいーの、みーこは。
IVーI:まーぶねーの、なーかに。
V7ーI:ねーむりたもーう。
IーVーI:いーとやーすく。


全部で6フレーズあるなか、
I のコードが、階段の一番目の段ということで、基本であり、「自分のうち」を意味するコードとして、
一番登場回数が多く、「安定を意味する、そこにもどりつつ」話を先にすすめていることがわかります。

IからVへは、本当にぶらんこの「あっち」と「こっち」ぐらい、カンタンに行き来できるものであることもわかります。Iが「自分のうち」だとすると、Vは「おじいちゃんおばあちゃんち」みたいな感じでしょうか。

IVからIの動きは、実は、非常に古くからある和声の動きで、「アーメン」終止のもとになったものです。
すくいの、とまぶねの、のところは、そういうわけでちょっと「アルカイック(古風)」なので、
2回言うことで、「まったり感」を出しているようにも取れます。
これを一回しか言わないと、「あれ?いま古めかしいのが、偶然でちゃったのかな」とおどろきますが、2回きちっと言うと「意図があるんだな、わざとなんだな」としっかり受け止めてもらえます。

同時にそこで「まったりと」音楽が停滞することを利用して、歌詞的にも無風状態の味わいを醸し出す事ができ、次の「盛り上がり」5フレーズ目の7の和音のフレーズが、実に生きる。

そうしておいて、上がったメロディーを階段状ではなく、4段抜かしなどを含む(8、5、3のところ)急降下などを使いつつ、メロディー的には1の音へ、ハーモニー的には1の和音に着陸して終結しています。


(ここの4段抜かしの8、5、3、の大技のところ、三和音のそれぞれの音だけを使ったメロディーをアルペジオといい、アルペジオこそ、ハーモニーとメロディーの融合の象徴なのですが…それもここでは「またこんどくわしく…」ということにしておいて…)



どうですか。

ものがたりみたいじゃないですか。


小説と同じように、起承転結がある!


小説よりもカンタンに、「数的に」(注:数的ではない)分析出来るから、「楽曲解析」という言い方をするのかもしれません。


1のコードも5のコードも、それぞれに深い意味はなくて、

並び方、組み合わせ方こそが、深い深い意味を持っている。


そして、その和声の並び方が、作品の成り立ちをつかさどっている、ということで、


きょうのちょっと長かった説明は終わりです。


ご苦労様でした〜!


次の回は別の歌を使って、「歌は違えど、和音の組み合わせが同じだったりするケースは、ままある!?」ということについて見て行きたいと思います。


では「歌の後ろには」二日目のまとめ、いきます:

4)一の和音( I )で伴奏できるメロディーは便利で、普遍的である
5)一段抜かしのみっつの音から成るのは三和音である
6)一段抜かしのよっつめの音が入ると7の和音と呼ばれ不協和音の一種となる(が響きは良い:ここ大事!)


それではまた次回〜!

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