となりの人

ブリュッセルーモスクワ間のフライトは3時間かかります。

成田直行便がないので、ベルギーから必ずパリやアムステルダムやローマの空港に行って乗り換えるわけですが、今回はソチオリンピックもあったことだし、超久々にアエロ・フロートに乗ったのです。

前回、80年代終わりの冬の夜にモスクワに降り立った時、空港まで膝まで積もった雪を幅2メートルほど綺麗に雪かきしてある中を歩き、うす暗い電灯の下、巨大なクマの剥製に頭上から歓迎され、何故か椅子がないので鉄の階段にみんなで座ってトランジットを待ったことが、強烈に印象に残っていました。

今回は、乗ったらすぐに、ここも普通のぴかぴかな航空会社になったんだとわかりました。

トランジットなどの欧州便は乗っている時間が短いので、本も持たずに乗るのですが、ロシアまでの3時間というのは、中盤から「ねえ、ママー、いつ着くのぉ〜」と、コドモがそこにいたら言われそうにだれてきます(だれてくるのは結局自分で、コドモはそれを代弁していただけか)。

ロシア人女性による「添乗員用の正しい日本語原稿」という感じのアナウンスも、妙につまらなそうな感じが非日本的で、音声的に驚愕したりしつつヒマをつぶしていたら、あと50分というあたりで3席の真ん中空席をはさんでとなりに座っていた男性がいかにも「もう飽きたし!」という感じで口火を切った。

「長いね!」

これからどちらも成田に行くことや、ベルギーの住人であることなどを話しました。その人はフラマン人でしたが、一見ドイツ人にも見え、英語で話しかけられたので最後まで英語で話していましたが、旅行中に英語で会話すると「非日常」という感じで、相手が「見慣れた」ベルギー人である気がしません。

さらに、この人は下はジャージに上はTシャツで(まだ肌寒かったのに)、とても背の高い逆三角形体格のブロンド美男子だったため、結局そのあと剥製のクマなどどこにもいないモダンなモスクワ空港を連れ立ってトランジットすることになったときには、「こりゃ珍道中だわ」という雰囲気になってしまっていました。

そういう人ほど案外ひとりで長い間いるのがつまらないというオーラを出しているもので、「ねえ、いやだったらいいけど、何か食べるからつきあってもらえる?」と訊かれたとき「うん、いやだ」とも言えず、モスクワからの便ではもう隣にはならないだろうし、あと少し話してもいいか〜と考え、一緒にうるさいテックスメックスのカフェに。

そこで彼はハンバーガーに食らいつきながら、普段はジムのインストラクターで生活を稼ぎ、ときどきプロレスに出演することを話してくれました。30代前半で、まだ小さい三児のお父さんの彼は、おそろしいほどまん丸な二の腕の内側にその名前を三つ彫り込んでいました。「奥さんの名前は入れ墨しないの?」とか、「お母さんはR君がプロレスに出ることをどう思ってるのかな?」という私の素朴な質問にも、「妻の名前を入れ墨するのは縁起が悪いんだよ」(本当にぃ?)「母は絶対にレスリングの試合は見に来ないんだ。息子が殴られるのを見るのはイヤだって泣くんだよ」(それはそうだろう!)などと気負い無く答えてくれました。


ふたりで成田行きのトランジットのところに座っていたら、周囲の日本人に随分じろじろ見られました。やっぱりプロレスをやる人は目立つものなんだなあと感心しつつ、恥ずかしくて自分にはきっとできないと思ったのでした(そういう感想でいいのか…)。


以前ならここで、「旅は道連れ」&「旅の恥はかき捨て」、もとい、「旅の友人はここまで」(そんな格言はない。)になったと思うのですが、たまたま私の演奏会と彼のプロレス演技会(というのか?)が同じ日で、「オルガニストとプロレスラーも共通点があるね」などと意気投合しなくもなかったこともあり、フェイスブックにお友達申請と「コンサートうまく行った?」とメッセージが来ていたのでした。なぜか、プロレスラーのお友達ができた、旅の始まりでした。


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