伴奏と焼き肉

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激しく咳き込み出すとまだまだ止まらないため、演奏会を弾きにも、聴きにも行けない、夫。

明日の仕事はプロ合唱団の団員オーディションの伴奏の仕事なので、

「俺は咳しても大丈夫」

と言いつつ、のど飴とタイムのお茶を魔法瓶に入れて行くことにしているようです。


この合唱団はバロック専門なので、オーディションも当然古楽のものが中心。
バッハやヘンデルなら現代の譜面になっていますが、フランス古典ものになると、手書き的な昔の譜面もたくさん使用します。伴奏も、通奏低音のものからオケのスコアの拾い読みを弾いて行く楽譜など、よりどりみどり。

それが、


70人分。



多くないですか!?丸一日でこれをさばくというのは!


音域も上から下まで(ソプラノ、メッゾ、アルト、テノール、バリトン、バス…コントラルトも?)男も女も…


みんな違う曲をてんでんばらばら持って来るそうです。


昔ならどさどさと楽譜が郵送されてくるところですが、今ではPDFヴァージョンが、メールボックスに「どさどさと」送られて来ていて、

「もー印刷するだけで紙代ばかにならないし、持って行くのも重いし、終わったあとどうするんだよこれ全部…」

ということで、チェンバロの譜面台をどけて、ラップトップを置いて練習したら、

「なかなかよろしい」

ということで。


これはオルガンの譜面台では出来ない(奥行きが足りないから)けれど、チェンバロならばっちり。また、iPadだと微妙に小さくてスコアがミニチュアになってしまうので、ラップトップで実はちょうど良かったみたいです。

(縦型の譜面が多いので、その場合はラップトップを横に置けたらもっと良いのですけれど)



さて、夫は「歌の人」に偏愛される男。



…って深い意味はないのですが(!)、彼は



「あ〜きょうちょっと…あれだから、半音下げて」


とか、


「ちょうどいい楽譜がなくって…これ他声用だけど、4度上げて弾いといて」



などの初見、その場の移調の無茶振りに「うそだろー高くつくけどいい?」などと軽口をたたきつつ、


追加料金なしで


ぱっぱら〜と弾いてくれるからです。


伴奏に関しては、まさに「何でも出来る男」。



以前、バッハのカンタータ2曲の通奏低音を、A=440Hzの教会オルガンで(ポジティフに非ず)、A=415Hzのバロックオケと一緒に、1時間の演奏会の間中、全部半音下げて弾いていたのを譜めくりしたとき、私はちょっと頭がおかしくなりそうでした(めくっただけなのに)。


譜面の音と、実際の指が違う音を弾いている現象は、深く考えるとメンタルが分裂してくるような、不思議なものです。
全音下げるのならまだ耐えられるが、半音というのは…。

ダブルフラットとかついた音を、半音下げて弾いたりするのも、離れ業に見えます。
(教会の、良く知っている歌を、楽譜は片目でちらっと見つつ、上げ下げするぐらいなら私にも出来るのですが…)

まあ、チェンバロが平均率で調律されているのなら、がちゃん!と鍵盤を半音上げたり下げたりぐらいは出来る可能性はありますが、平均率ということは古楽ではあまりないので…



明日はそんなのを70人分もこなせば、とってもお腹がすいてしまいそうです。

音楽では、特に脳を激しく使うので、ちゃんと食べないとやせ細ってしまうジャンルがありますが、作曲や、アクロバティックな伴奏はその最たるものです。カロリー計算を見たことがありますが、スポーツ並みの消耗度だそうです。

と、いうわけで、明日の晩ご飯は

焼き肉

に決定!

夫が出稼ぎに行っている間、私は無農薬スーパーで月1ショッピングの日なので、車で行っておいしいお肉をたっぷり買ってきます!

ガンバレ伴奏マン。

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夫指定…
同じオルガンの仕事をしていても、この夫のような仕事は、「出来る人」のところにしか舞い込みません。私には来ない。かといって、「やりたいか?」と訊くと、「いやだ、誰がこんなのやりたがるんだ」とはっきりいやがる夫。でも、「歌の人」たちは「楽器の人」とは違い、「伴奏の人」に精神的な心のよりどころを見いだしている部分が少なからずあり、このような仕事をすると、かならずいっぱいお土産をもらって帰ってきます。楽器の人も、別に感謝の心がないわけではないと思うのですが、仕事として雇われて夫が弾いているのに、別に手みやげはいらない、と思うらしいのに比べ、歌の人たちは「これからもよろしく頼みマッス!!!」という心と、「わたくしを特別にお引き立て願いますっ!」という心からか(想像だけど)「ありがとうありがとう」と、チョコだの、ケーキだの、林檎だの、ワインだの、…持って来てくれる。夫は明日は電車だけど、荷物大丈夫かな、と心配している私…。
まあ、夫は、イヤと言いつつ、いろんな歌手に出会うのは楽しい、と思っているはず。
楽器が、生の人の声そのものなのだから、当然、歌の人はより「人間っぽい」。そこがやっぱり素晴らしい。
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